おなごテツ

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6月24日 『合意と同意』について考える

6月24日(土)に行われた「おなごテツ」のテーマは『合意と同意』でした。

以下は当日の発言録です。

・合意という言葉は日常であまり使わない? 同意のトラブルは日常でよくある。
・合意も生活する上で使う。同意は一往復で完結するが、合意はもう1アクション必要になる。コロナ禍の移動を控える動き、あれは何となく形成された合意だったのでは。
・合意は契約。お互いが条件を出し合ってすり合わせる。合意は問題が起こりにくいが、同意は難しい。個人的には、相手側に既定路線があり、自分は受け身で同意する場合が多い。
・合意は対等の立場。コロナ禍の制限は暗黙の同意? 
・同意には対等ではないニュアンスがある?
・性的行為における同意の問題。男性側から合意の強制? 女性が仕方なく従うのが同意なのか?
・同意と合意は覆すことは許されるのか? 後でやっぱり無かったことにすることはできる?
・子育て中の体験。子供との間に同意が成立しない、親の要求に子供が納得しないと文句の嵐だった。自分が子供の頃は親に従っていたが、自分の子供は親に無条件に従うという発想がない。
・合意では自分の意見が確立している。同意では自分の意見を持たない場合がある。簡単に同意すると後で問題が発生する。自分の意思の確認が大事。考えるのが嫌な時、何でもいいと思う時、いい子のフリをしたい時は簡単に同意してしまう。同意のし過ぎで、自分の曖昧さが増大する。同意は要注意。
・皆とことん自分の気持ちに正直になった上で合意に達することにこだわると、物事が進まないこともある。合意以前の同意が必要な場面もある。ある程度の同意の幅を自分の中で持っておくのも大事。メリハリ。
・同意は何となく覆される。合意は破棄される。
・同意も合意も何となく決めた場合は覆すことができる。かっちり決めた契約は覆すのが難しい。相手によっても変わる。
・母親の世代は選択肢があると困るのでこちらで決める。子供と話す時は子供なりのスタイルで話し合う。
・母は「考えるな、感じるな」だった。
・選択肢をどちらが提示するのか。子供との間では両方が選択肢を提示する。自分の母親は選択肢を許否する。
・権利があると思った時、合意するという意思が発生する。権利が無いと諦めている場合は、合意に向かうという考えが浮かばない? 女性が権利を主張していいと思えるようになってきた。
・権利の背後にある責任の問題。自分が責任を取る自信が無いので同意する場合もある。自分が責任を取る覚悟がある時は合意を目指す。自己責任を追及されたくない時は同意で済ませる?
・責任を取りたくないときは同意もしないのでは?
・責任の厚みの問題。重い責任は避けたいけど軽い責任ならOKという場合は同意する?
・そのコミュニティとの関係性を維持したいという気持ちがない時は合意も同意もしない。
・病気の治療における同意書。同意すれば患者側の責任。
・医療現場での同意書のように、不可抗力的側面を含む場合はケースバイケース?
・昔の女性は様々な思い込みを植え付けられる教育を受けていた。
・空気に同意?
・自主的ではなく、明確な相手もなく、合意している場合もある?
・昔は男女の間に合意という概念がなかった。男性が一方的に決めていた。決めるのは男で責任を取るのも男だが、駆け引きや心理戦があった。現代では男女の権利意識が変化した。
・強いから同意することもある。同情心から同意する? 強い女性は、諸々見抜いた上で同意して、責任も取ってあげる?
・余裕の同意。表面的に同意する時は、裏に確固たるものがあることが多い。あまりに自分の考えが固まっていて、他人とすり合わせをする気が無いときは、簡単に同意できることもある。

<問い出し>ーこれまでの流れを踏まえて後半で話してみたい問いー
1他者の意見に同意して得られるものは何か?
2同意と合意の明確な違いとは 
3同意は自分を裏切るか? 
4同意ではなく合意を目指したいと思うとき、その動機は何なのか。なにを大事にしたいから、合意を目指す? 
5合意の強制的な側面から話してもおもしろいかも
6自分の人生の責任を自分で引き受けることができて、自立して生きてゆくためには、何を大事にしていけば良いのか? 

投票の結果、3の「同意は自分を裏切るか?」に決定
・妥協と同意、受容と同意。このなかに自分を裏切る要素はあるか。
・ま、しゃーないか、が頭をよぎる時の同意。そこまで自分の気持ちを重視しなくていいと思うのは裏切りなのか? 自分を俯瞰している?
・「裏切る」は犠牲になる?
・完全自己正直。違和感があった場合にはそこを詰めていく。合意を目指すことに近い。
・アサーティブでは、面倒だと思ったらやらなくてもOK。器の大きさによる。
・自分の中で譲ってはいけない部分の分量が大きい場合と小さい場合がある。自説(譲れない部分)と、好感度などのメリットとの計算がある。計算には裏切りがある。
・ここは一つ貸し、という場合。その上で何か自分の望みを通そうという場合はどうなのか?
・より多くのメリットを得るための戦略の一部の場合は裏切りではない? 人に責任を押し付けている時の心のチクには裏切り感がある?
・後ろめたさと裏切り感が微妙に違う。裏切りは後ろめたさより深刻なイメージ。何層も重なってねじれていくなかに裏切り感がある。
・メリットに目がくらんだ自分が、自分への裏切りと感じる。
・女性が女性として完璧に生きなければならない時代は、それを目指すことを強制されていたのでは? 罪悪感を持つようにできていた。
・「裏切り」は相手がいる。自分への裏切りとは、もう一人の自分への裏切り? もう一人の自分との約束が反故にされる?
・他人を裏切るのは怖い。自分は裏切る方が楽。その象徴として同意がある?
・同意に至るまでに咀嚼が必要。咀嚼によってコミュニケーションが生まれる。
・自分の思いとは違うことに同意する場合、それが嘘であることは自分でわかる。自分に対してはごまかせない。自分が嘘をついたことが自分を攻撃する。咀嚼して理解し直すと、爆発せずに済む。今嘘をついているという感覚を逃さない。
・嘘をつく時、相手も自分も裏切る。メリットを取る場合は自覚がある。自覚は大事。
・DVの場合、子供から見ると暴力をふるう父が嫌いで受ける母が可哀そうと思うが、深層心理はまた異なる。深層心理の圧まで引き受けた方が正直に生きられる? チクっときたとき、そこまで考えることが大事。
・合意や同意の背後に自分の正直さの問題がある。自分に対する不正直をためこむと大変なことになる。他者に対して正直になることは難しいので、自分一人で自分に正直な時間を持つことでバランスを取る。