9月24日に行われた「おなごテツ」のテーマは、「エロス」でした。エロスを巡って活発な議論が展開されました。
以下は当日の発言録です。
- 個人的な性的な嗜好。親しくなりすぎた友達は身近すぎて、エロい部分は見たくなくなる。未知なる部分がエロスには重要な要素。
- エロスは禁忌、タブー。秘めたもの、手が届かないもの。
- 見えそうで見えない時、エロスを感じる。文章でも隠避なもの。江戸川乱歩の「孤島の鬼」という小説がある。
- 倒錯していればしているほど、エロスが大きい。性的なことをしたことがない人の方が色気があるのが不思議だな、と思うこともある。エロスは産まないこと、と澁澤龍彦が書いていた。エロスは産むとは別のこと。
- なぜ夫には愛を感じないのにペットや友達には感じるのか…。エロスは愛に似てるけど、短い時間だけ感じて強いパワーがある。ホルモンのいたずら?
- いつもは分断されているものが一つになるようなエネルギー。それに乗っているうちに本当の愛を育まないと失われてしまう。
- 色気があると言われたことない…。エロスは苦手分野。エロスを感じる時は「ギャップ」。上品で物静かな人とか。性格に裏表がないとエロスは出しにくいかも?
- 國分功一郎氏は、『暇と退屈の倫理学』では、こう記しています。
- ”人はパンがなければ生きていけない。しかし、パンだけで生きるべきでもない。私たちはパンだけでなく、バラも求めよう。生きることはバラで飾られなければならない。”
- 非日常的で、近くて遠いもの。エロスは「不安定」という感じもする。男性にエロスを感じるのは、ズボンや胸のポケットに手を入れる仕草。顔よりも仕草。
- エロスって頭の良さにも感じる。疑問に思うのは、よいエロスとわるいエロスがあること。規制されるものと許可される芸術はどう違うのか。卑猥さとの区別はどこなのか。女性の胸やお尻は普通のもので、それをなぜダメというのか。
- 頭の悪い人にはエロスはないのか?落第生みたいなポカンとした素直な表現にどきっとしたことはある。
- 自分にないものに五感を刺激されることもある。
- 男性は視覚重視、女性は五感、妄想、イメージなども大事にするのかも…。知識欲がある人はエロい、と言った男性がいる。研究、探求熱心な人は貪欲だから。工夫を凝らさない人は動物と同じ。人間はヒト以外にもエロスを感じる。
- 性欲は本能。エロスは文化的なもの?
- エロスという言葉に芸術性が含まれる。
- お笑いコンビの片方が結婚してその人がAV女優だった。男性はここにエロスを感じるのか?と。あらためてびっくりした。
- 男性のニーズに適したエロスと、そうではないものがあるのでは。
- 叶姉妹には、高級感と芸術性がある。だから女性にも人気?
- アンチエイジングというか、老いに抗う状態にエロスを感じるのか?若い人よりも年配の女性が赤いマニキュアをしていたりするところにエロスを感じる。
- 叶姉妹には、日本人男性はエロスを感じないらしい。自分の手の平に乗せられるギリギリラインでないと。全て思い通りになるのも、キャパオーバーになるのもダメ。支配欲を満たせないから。これは女性の側からも言えることかも。
- 小学六年生の頃、家庭科でロールケーキを作った。男の子たちがそのケーキを欲しがった時、一部の女の子たちが急に「女」の顔になってケーキをあげたことを思い出した。
- 女医さんの息子さんが病院に医師として入った時、今までスタッフは女性しかいなかったので、急に看護師さん一同、後期高齢者の看護師長さんもお化粧し始めた。男女は年齢に関わりなく惹き合うのか…
- エロスは複雑なもの。男性が感じるエロスは単純なのでは。エロスはもっと総合的な複雑なものなのでは。昔の小説などには「混浴」とか出てくる。当時は普通だったのかと。女性の裸を見てもそれだけでエロスを感じなかったのか。近代になって女性の身体は単にエロいものとして認識され立場が低くなったのでは。
- 単純化されたエロスもある一方で、崇高な、芸術性を併せ持ったエロスがあるのでは? 「L.A.コンフィデンシャル」という映画。キム・ベイシンガーという女優さんの背中が美しかった。これがエロス? 崇高さと性的なもののベストミックス。
- エロスは気合で出す!?
- エロスはバルブを開いて出すらしい…。達人によると。意識の話なのかもしれない。開くとエロスを体現するものになる。
- ダヴィンチの「モナリザ」。ダヴィンチは解剖学も参考にして描いている。モナリザは男性に人気がある。なぜか?それは目線。どこからでも見られているように感じるように描かれている。
- 竹久夢二の絵の女性にあるエロスは「うなじ」。画家は女性のエロスを引き出すのがうまい。
- 自分は、男性の男っぽい仕草にドキッとしない。美しい作品にはどきっとする。エロスってなんだろう?艶っぽい質感とか落ち着き…知性にもつながるもの。音楽のメロディラインとか。自分の内側を触発されると、それをエロスと感じるのかも。
- 呼び覚まされる「ざわざわ」が、エロスのヒントになるかも?
- 婚活中に出会った年下の営業マン、見た目はタイプだったがあまりビビッとこなかった。なぜか?と考えたら、エロスがなかったのかな、と。エロスは人によって感じ方は違うが大切なものだな、と。よく知っている人も、いつもと違うことをしているとエロスを感じる。
- BL好きなので、男性同士の親密感にエロスを感じる。自分は部外者だけれど。また、ふたりの間に漂う愛も、エロスに重要なのかな、と。
- エロスの延長線上に愛が見え隠れしている…。
- マンガや小説を読んでいて、脳内でエロスを感じることがある。物語の中の関係の中に自分が求めているもの、近づけないけど求めているものがあるのかな、と。欲望を充足させるだけのものはエロスではない。性別が違うとわかりあうのは難しい。
- 女性が男装した女性に感じるものはエロス?
- 男友達と彼氏候補は、最初にわかる? そこはエロスの差ではないか。エロとエロスの違いは?性的なものをビジュアル化したのはエロ。エロスは妄想の中の出来事。もっと探求したいという要素があるものがエロス。
- エロスは堂々とアートでも表現できる。エロは恥ずかしい。
- マスクとか、はぎとられた瞬間の恥ずかしさとはぎとる側の恥ずかしさのエロスの違い?
- エロスは、ハート(感情)に迫る感じ。エロは性的って感じ。
- エロスを感じる、という時、自分とは異なるものに対して感じるのだと思っていたが、自分自身に感じることもある。髪を梳かす時とか。次元が高いエロスもある。自分がいなくてもそれ自体が存在していればいい、というようなエロスもある。圧倒的なものを目にした時、自分なんて必要じゃなくなるようなものに対してエロスを感じることがある。
- 圧倒的…エクスタシーの本質のような気がします。
- 生命力?
- うごめく感じ、命、エロスに欠かせない。
- 不安定なものにもエロスを感じる。
- 食べてくれる人へ愛情込めて、丁寧に料理をしている人の確実で、上品な手さばきを見ているとエロスを感じます。
- エロスは自己が溶解する。縄文式土器は周囲の闇に溶けていく感じがする。全体とひとつに溶け合う。
- 口の中で溶けるものにもエロスを感じる。
- ソフトクリームとアイスクリームにエロスを感じる。
- 口唇感覚がエロス?
- 赤ちゃんは口の感覚が鋭い。その年代によって感覚がちがう。いつからエロスを感じるのか…
- 五歳か六歳の時、アニメのデビルマンを鞭打ってる夢をみた、という妹の話はエロスだと思った…
- 「溶けていく」という言葉がすごくしっくりくる気がします。エロスを感じる時、何か(これが何なのか分からないのですが、自分の中にある何かだと思っています)は溶けきっているのか、それとも何かは残っているのか、気になります。
- 子どもの頃最初にエロスを感じたのは、ウルトラセブン。悩む姿にエロスを感じた。
- 子どもの頃のエロスの記憶。小学校の時のスカートめくりが流行り、でもそれが撲滅された後、逆にスカートめくりされたいな、と思った。スカートめくりが「エロ」として消費されるのはいやだけれど、自分の中だけで想像して楽しむエロスだったな、と思う。
- 自分でスカートめくってパンツを見せてくる子どもがいる。ナルシスティック?エロスとは相手を含むもの。
- 愛は能動的。エロスは勝手に始まる。自分が溶けていくような感じは終わってしまう。次は自分で造り出していかないと消えてしまう。
- 好意をもっている人が、自分に対してエロスを感じたような時、突然不快になることがある。どうしてかな?と思う。
- 相手が振り向いた途端、相手の価値が下がる…。日常レベルに落ちるから。現実から切り離したところにエロスがあるから。
- それは蛙化現象。相手が振り向いた時、がっかりする。
※「蛙化現象」は「かえるかげんしょう」と読みます。「蛙化」の由来は、グリム童話の「カエルの王様」です。